「人生はSFだ」(2013年1月1日初版)は、北海道のSF作家、荒巻義雄が作家としてのバイオグラフィーを通じて、自身のアイデンティティを探りながら、独自の発想方法による今後の抱負を語っている。
荒巻義雄のSF小説は数冊しか読んでいない。漫画もわずか。しかし荒巻義雄ほどの「センス・オブ・ワンダー」を持つ作品には出会ったことがない。特に荒唐無稽さにおいては他の追従をゆるさないだろう。この本は、小説ではないが、荒巻義雄の発想の飛躍力というか、知の航海術というか、自由奔放さの原点を知ることができる。
また札幌で作家活動を続けることの意義にもふれている。今日ではなかなか持つことの出来ない創作の姿勢は、たとえ成功者の言葉でなくても感動を与えてくれる。
「最近は、作家になってもいつでも本が出せる時代ではありません。たとえ世間に受け入れられなくても、書く必要のあると確信したものを全力で書くのがプロです。出版できなくても、死後に誰かがよめばいい。」
また守護霊について、「思う者がいれば、思われた霊は、その思う人のなかに同居するのではないでしょうか。迷信とかそういう話ではなく、人間の持つ能力というか、まだまだ多くの秘密がわれわれにはあるように思います。」と語り、作家としてだけでなく荒巻義雄の人間性を感じることができる。
最後に80才近いこの作家は、今後ぜひ書きたいテーマとして「われわれはどこから来て、どこにゆくのか。」という命題を挙げる。それは、かねてから抱いていた古代文明の解釈に結びつく。そしてこの仮説がまさにセンス・オブ・ワンダー荒巻流なのである。
荒巻さんには、時計台ギャラリーで展覧会をさせていただいた際、数回お会いしました。
その頃は、ギャラリーのオーナーであり有名なSF作家ということ以外は知りませんでしたが、図々しい私は、作品をさし上げるといってオフィスに通してもらい、本を何冊かいただき、お寿司までごちそうになってしまいました。多分覚えていないと思います。
同じギャラリーでアニメーション「PEOPLE AND BALLS」を上映した時には「これはロボットだろ。」と、話しかけてくれました。これも多分覚えていないと思います。
当時、荒巻さんは60才ぐらいだったと思います。すでにコンピュータを使っていて、よく使う文章を登録しておいて小説を書いていると話してくれました。これはまったく覚えていないと思います。そんな関係ですが、今回「人生はSFだ」を送って頂きました。感謝です。
以下が、荒巻義雄の主な作品。
「柔らかい時計」「白き日旅立てば不死」「神聖代」「エッシャー宇宙の殺人」
「紺碧の艦隊」「旭日の艦隊」などのシリーズ漫画
私が読んだのは「響かん天空の梯子」「ゴシック」。
小説は、多数出版され、海外でも翻訳されいます。
昨年は、詩集「骸骨半島」で北海道新聞文学賞を受賞。
荒巻さんの作品はSF作家の枠にはおさまりません。世界第一級の怪人だと思っています。
「人生はSFだ」は、”怪人の秘密”みたいな本です。
0 件のコメント:
コメントを投稿