B-STYLE

[身近なモノの取合せで暮らしを満喫する]  [時の経つのを楽しむ] [偶然を味方にする] それらをBスタイルと呼ぶことにしました。

2013/03/25

映画「ネイビー・シールズ 」と「ザ・ドライバー」のリアリズム

「ネイビー・シールズ 」をブルーレイディスクでみた。驚いた。風景があまりにも綺麗。特にフィリピンやコスタリカの田舎の風景は、細部までクリアで、光が草木や水や大地に鮮やかな輝きを与えている。めったに見られない映像だ。

これは映画の大部分を占めている戦闘シーンとは相反するもので、こんな美しいシーンをこの映画に入れていいものか、と思うほどだ。

今までブルーレイが特に綺麗と思ったことはなかったが、こんなに綺麗だったかと思い「ターミネーター2」を出してきて比べてみる。こちらは大したことない。

もうひとつ驚いたのは、戦闘員が建物に入ってゆく時のゲームのような1人称映像。カメラの前には銃がある。臨場感がある。リアルだ。映画が公開されたのは1990年。まだ3DCGの1人称ゲームは一般的ではなかった。

これはカメラマンのせいだと思い、調べると「バニシング・ポイント」を撮影したジョン・A・アロンゾ。おそらくフィルム映像がスゴイのだ。この映画の綺麗さとはブルーレイのデジタル技術ではなく、それ以前の問題なのだ。

次の日にみた「ザ・ドライバー」は、ずっと古い1978年の映画だ。しかしこの映画、車のスタントがスゴイ。町中のカーチェイス、地下駐車場内でドライバーの腕前を見せるシーンは圧巻だ。

今やCGでなんでも出来るような時代になってしまった。「アイアン・スカイ」などを見ているとハリウッドでなくてもあんな映画が出来てしまうんだと思う。しかし映画が始まった頃は、実際に起こっていることを記録するのが映画独特の技術だったはずだ。車はこんな風に走り、揺れ、滑り、きしみ、擦れ、衝突し壊れると。

「ザ・ドライバー」のカーアクションはそんな風に映像として記録されている。そこにはCG映像では観客に感じてもらえないリアリティ(現実感)がしっかりとある。

この2本の映画を見て気づくことは、
1.カメラは技術者によって作られた道具だが、映像はそのカメラマンによる。
2.車は技術者によって開発された乗物だが、運転はそのドライバーによる。
3.カメラは眼の前で起こる事実をリアルに記録してゆく。
である。

道具や物は誰にでも平等に使えるように作られているが、時には常識を超えた使い方の出来る人間がいる。こういった肉体的な技や感覚によって生まれた表現は、道具の性能よりも賞味期限が長い。

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