離れて暮らしている娘が帰ってくると、おぼん気分になる。犬にも分かるらしい。嬉しそうにはしゃいでいる。家では娘の思い出の料理をつくる。私の家の場合は、北海道ならではの新鮮な刺身。それに餃子。ちょっと崩れてしまったが、味は不変。ささやかだがいい日になった。
私の小さい頃のおぼんといえば、家の玄関を入った部屋に祭壇をつくり、灯籠が飾られ、お供えの豪華な果物と、ナスの牛とキュウリの馬が手前に供えられていた。家の前では松の薪を燃やして独特の香りが漂い、日蓮宗の祖母たちの集団が太鼓を叩き経文を唱えて家々を回っていた。七夕、夏祭り、花火大会といった夏の行事の最後をかざるビッグイベントだった。
子供の私の頭にあったのは、このイベントの終わった後、普段食べることない豪華な果物にありつくことだった。
日本の夏のおぼんは、本来は墓参りをし、先祖の霊を迎える仏教のお祭りだが、今では子供が結婚相手や孫を連れて生まれ育った家に帰り、世代を超えた一族が集うイベントになっている。
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