最近よく街中に行くようになった。狸小路にも月1回。ここには中川ライター店があるからだ。
今やパイプの葉や喫煙具が手に入るのは、こことドンキホーテ。
中川ライター店はモデルガンや模型飛行機がギッシリと並んで・・、というかギッシギシに詰め込まれた超レトロな店。50年以上前、私が小学生時代に通った静岡の模型店そのままだ。
というか、というか、今回はその話ではない。狸小路には前から気になる床屋がある。理容店とかヘアサロンというより床屋といったほうがぴったりくる店だ。なんとこの店の窓には金子国義の絵がかかっている。発見したのは数年前だが驚いた。
70年代、金子国義は婦人公論の表紙を飾った画家であり澁澤龍彦お気に入りの画家だった。画風はアメリカのボンデージ・イラストに似ていない事もないが、少女をモチーフにしたエロティシズム、放蕩と官能の世界。バタイユの官能小説の挿絵、イタリア、オリベッティ社の「不思議の国のアリス」などの仕事もしている。
あのどこもかしこもアバンギャルドばかりだった時代に、金子国義のわりきったスタイルは、逆に新鮮だった記憶がある。
2階に上がってドア越しに除いてみると絵は他にも何点かある。結構立派なものだ。本物だと思ったことはないが模写にしても十分なインパクトを持っている。普段なら「すみませ~ん。ちょっとお聞きしたいのですが・・」とたずねるところだが、恐ろしくてずっと店に入れないでいる。こんな怪しい床屋はいつまでもなくならないで欲しいと思うのはわたしだけだろうか?
そういう意味ではこの店、中川ライター店と共通している。以前は近所のポスフールにも喫煙具コーナーがあったが今はない。