B-STYLE

[身近なモノの取合せで暮らしを満喫する]  [時の経つのを楽しむ] [偶然を味方にする] それらをBスタイルと呼ぶことにしました。

2013/06/21

もとからあった花・いただいた花・道ばたからの花

この家に住むようになった時、庭は大きな木が何本かと土しかなかった。スズメが砂浴びに来るようなところだった。かといって花を買ってきて植える気はなかった。どんな庭にするかというプランはなかったが自然の庭を作りたいと思っていたことは確かだ。

隣のおじいさんがよく花をくれたが、いつも私は見えないところに植えてしまう。3年目に庭が草で覆われたころ、「あなたは公園のような庭にしたいんだ。」と、おじいさんに言われた。そんなつもりはなかったが、そんな風に見えるんだなと思った。

何かを作ろうとしたら、スケッチなり設計図なりのプランを立てるものだが、そんなものはこの庭には必要なかった。巨大な2本のサクランボの木をじっとみて次に地面をみれば、ああしたいこうしたいというアイデアが次々とわいてきた。

庭を造ろうとしたわけではなく、そこにいたい気持ちになる自然のたたたずまいが欲しかったのだ。

最初はなんでもいいから庭に花が咲いていてほしかった。花屋にない花が。
土と砂利しかなかった時、1番に咲いたのがこの花。たぶん荒地を好む花だろう。
何もしないのに花が咲くと神から祝福のプレゼントをもらったような気になる。

クローバーを増やそうと思っていた時、似たような葉をした草があることを知った。エゾタチカタバミという草。黄色い花が咲く。目立たなくて「なにしてるの?」と声をかけても「え!」としか答えないような花だ。

この花もタンポポを抜いている時に違う花があるのに気づいておぼえた。丈夫であまり増えないので安心。しかしタンポポモドキという見下された名前がついているのはいかがなものだろう。日本にはモドキと名のついた生物が多い。海外にもあるのだろうか?

この花、いつの間にか咲き出して、すごい勢いで増えていった。その頃だった。家の周りに雑巾を腐敗させたような異臭が漂う。臭いの元はこの花だった。花なのにこんな臭いとは。名前を調べたらフランスギクというのでさらに驚いた。もしこの臭いが香水の秘法に入るのなら・・、いやそんなことは絶対にない。まあ香りに興味のある方は小説「香水」を読んでみるのもいいかもしれない。・・脱線してしまった。

隣の庭を眺めているうちに気に入ってしまったのがこの花、ジャーマンアイリス。とくに葉の形が好きだ。アンリー・ルソーの絵を思い出す。植えたい場所もあったので、買いたくなってお隣に名前を聞いてみたら、いただいてしまった。

向かいの家で増えすぎて困っているので持っていかないかといわれいただいたのがアヤメ。どこに植えようか困ったが、いまでも目立たない所に咲いている。

コウリンタンポポは、道や野原に時々咲いている。道端にバーミリオンの花は珍しい。1本抜いてきて庭に植えた。花が咲き終えたあと揉み潰して蒔いたら増えてきた。

咲き終えて散った花が葉や枝に絡み付いて腐ってゆくのを眺めるのはいい気持ちではない。だからどこの家でも早めにむしり取って捨てている。
そんな花を集めて楽しむのはいい趣味ではないと思うこともあるが・・。まだきれいだ。庭には草や枝を捨てるところはあっても花を捨てるところはない。



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