B-STYLE

[身近なモノの取合せで暮らしを満喫する]  [時の経つのを楽しむ] [偶然を味方にする] それらをBスタイルと呼ぶことにしました。

2013/06/20

映画「星の王子さま」Le Petit Prince

ツタヤで「星の王子さま」DVDをかりて観る。
もしかしたら古いミュージカル映画じゃないかと思ったが、その通り。あまり期待せずに見始めたら、すばらしい映画だった。

舞台ではよくある手法だが、「星の王子さま」では登場する花や狐や蛇を人間が演じ、歌やダンスまで加えている。オシャレだ。ちょっと大人っぽさを感じた。

しかし、こういうミュージカル映画の作り方はうっとうしい、という方もいらっしゃるだろう。キャラクターはリアルなCGにし、歌や踊りなどは無い方がひたりやすいと・・。

それも一理ある。原作アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの小説は、風刺に満ちているが、叙情的で詩的なストーリーだ。

だがこの映画をCGのなかった時代の遺物だといってしまったらお終いだ。
映画の中にある様式(蛇を人間にすり替えてしまう擬人化)と、現実的な映像との間にあるズレの面白さを味わってほしい。その時ミュージカルは、能や狂言のような洗練された様式に見えてくるはず。

1974年に作られた「星の王子さま」の表現は、当時の斬新な発想や工夫に満ちており、それは今のリアルであれば分かりやすいという子供っぽい価値観とは別のものだ。

一見なんでも出来るような気にさせる現代の技術。その先には、表現のマンネリズムが待ち受けているような気がする。日本人は俳句や短歌を生み出し味わっている。そんな表現を映像化出来ないものか・・。

もう一つ、この映画を見て驚いたのは、主人公の王子さまの素晴らしさだ。この子に代わる配役など滅多にいないだろう。この子の前に立ったら、いくら子供の心を持ったつもりの人間でも大人であることを知らされる。
この作品がレンタル用としてDVDになったのは、新しい「星の王子さま」の制作が発表されたからだと思うが、この子にまさる王子さま役を見つけたのなら、それだけで観る価値はある。

さらにもう一つ、この映画、以前YouTubeで少しだけ観たことがあった。その時はパッとしないと思っていた映画が、じっくり観ると違ったものに見えた。
インターネットで映像をを閲覧するのは、お祭りで出店を食べ歩きするのに似ている。祭りではパッとしないような食べ物も、落ち着いた場所で食べればまた別の味がする。

映画「星の王子さま」は、私にそんなことを感じさせてくれた。

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