うつ伏せって思いのほか気持ちいい。大人になってから滅多にうつ伏せになることがなかったが、整骨院でうつ伏せになって気づいた。
整骨院のベットには顔のあたりに穴があいていて楽にうつ伏せになれるが家では同じことはできない。そこをなんとかできないか・・。
マッサージ室には他に穴のあいたクッションがあったので価格を聞いてみた。クッションは医療機器で5千円くらいするという。
それまで医療機器などにお金をかけてこなかった私にはずいぶん高いものに思えた。そこで代用品をさがしにホームセンターへ。
[買い物]
最初は子供用の浮き輪をさがしたが顔が乗るようなサイズがない。幼児用でも大きすぎるのだ。
ところが検眼表にあるような1ヶ所が切れた円形のクッションが見つかった。首を通して横になるために使用するものだ。素材は低反発ウレタン。金額は約千円。これで代用できないかと買って帰る。
しかし使ってみるとクッションが潰れ、鼻が布団にあたるので息ができなくて苦しい。クッションの下に隙間のある堅い台が必要なのだ。高さは5~10センチくらい欲しい。
どうしたものか、いろいろ考えてみた。
・子供用の便座を敷く:これは使っている自分の姿を想像してボツ。
・必要のなくなった辞書、またはパソコンソフトのマニュアルを隙間を開けて並べる:バラバラになってイライラする自分が目に浮かんだ。
再びホームセンターへ。
見つけたのは発泡スチロール製のクーラーボックス。上下を反対にし、高さを低くして 上面に鼻が入る穴を開けることに。
[ワッフル売り]
ガレージでクーラーボックスを加工していると、妙に馴れ馴れしい若者が大きな箱を抱えてやってきた。道を聞きに来たのかと思ったら、ワッフルを買ってほしいという。
えっ! こんな札幌の外れの住宅街に? 若者が箱を持って歩いて? ワッフルを買わないか?
ここは日本だ。今は平成だ。
見せてもらうと大きくて厚みがありけっこう美味そう。4個で千円というところを、「食事制限をしているので、こっそり食べるから2個だけなら5百円で買ってもいい。」とごまかして買ってしまった。
ついでに「どこから来たの? 自分で作っているの? これで商売になるの?」と聞いてみた。
彼は、中央区から車で来たという。ワッフルを作るのは職人で本人は営業専門、売上の20%をもらえるという。
まるでベトナム人のようなおおらかな彼(私はベトナム人とは1度しか話したことはない。)を見ていると、これからの日本は大丈夫だ、1度一緒に仕事をしてみたい、などと思ってしまった。
[最後]
クッションの台はできあがった。機能は十分、デザインは無視。”うつ伏せ箱”と呼ぶことにした。
ワッフルは、お腹が空いていたのであっという間に食べてしまった。1つは家内に残しておいた。
味はまあまあ。生クリームがタップリ挟まれていて柔らかい。いや私は味をとやかくいうほど何度もワッフルを食べていない。両手があれば数えられるほどの回数。
食べ終わって妙なことに気づいた。ワッフルは透明な袋に入っていたが、ラベルには製造:栃木県〇〇町、賞味期限は7月1日とある。
栃木県から? 私はてっきり札幌で作られたものだと思い込んでいた。そして新たなビジネスとして訪問販売に挑戦していると、かってに思い込んでいたのだ。
もしやこのワッフル、どこの店でも売っているありきたりのもの?
もしや売れ残り?
それならおおらかなベトナム人とは私の事になってしまう・・。