札幌に来てからずっと蕎麦をつまみに日本酒を飲みたかった。しかも昼間、駅の近くなどではなく、ちょっと自然を感じるようなところで。でもこちらは車生活。なかなかそうもいかない。
しかも体をわるくしてしまい、ろくに酒の飲めない状態になってしまった。せいぜい月に1度か2度ていどならという暮らしが続いている。
だから蕎麦屋の「古楽」で飲んだ酒は格別だった。
■「古楽」は、気さくなご夫婦の店。
酒を飲みに来たというと、連続テレビ小説「マッサン」の主人公の実家の酒、「竹鶴」を以前からおいているというので注文する。丁度いい香りと旨味に大満足。最初は酒だけ、途中からはもり蕎麦をつまみに・・。願いがかなった。
話題は「マッサン」。ご夫婦、ニッカの工場にはくわしく、ドラマには注文もあるようだった。そして話題は薪ストーブへ。3台目だという。ストーブの熱で温めた温水をパイプで店中に送って暖房したこともあったらしい。
壁に「コーヒー¥200」(やすい!)という紙がはられていたので、最後に注文する。今日はガテマラ、自分で焙煎しているといって豆をひいてくれた(写真)。あっさり味で蕎麦に合う。蕎麦屋でコーヒーを飲んだのは初めて。
このご主人、なんでも作ってしまうところ、いろんな工夫が得意なところは「小春堂」のマスターに似ているが、庭で菜園をしたり、そこで育てたアケビにつく虫の話題など、興味はより自然に近い。野原を駆けめぐる子供がそのまま年をとったような方だと思った。北海道生まれ北海道育ちという。
■なぜ蕎麦屋で酒?
東京の荻窪と西荻窪の間に「本むら庵」とい蕎麦屋がある。二十歳から通っている。最初はあることも気づかないような平凡な店だった。空腹で入っただけ。ところがあっという間に立派になって今では予約がいるほどだ。
友人で趣味人の康平さんは、この店が気に入って、「江戸時代から蕎麦と酒は恋人と呼ばれたほど」と蕎麦と酒の取り合わせ好んだ。いつしかみんなが昼から集まって、剣菱の樽から注がれた酒を飲むようになっていた。
* アケビにつく虫、アケビコノハの幼虫。
写真はgoogleで検索「昆虫親父日記」より
*「古楽」藤野
*サクランボの木 サヨウナラ